TOP > 過去問の使い方
では実際にどのようにすれば過去問を徹底活用することができるのか。
過去問の活用目的はひとつ。「効率的なインプット」であり、その活用方法は主に2つある。「過去問参照」と「過去問答練」だ。
過去問参照とは?
受験予備校の講義中やその復習に過去問を参照し、講義内容の最も大事な部分を意識することである。
これはいわゆる理論科目、財務諸表論、監査論、商法、民法、経済(の一部)、原価計算(の理論部分)、経営学に有効な手段である。
講義中でも復習の時でも構わないが、講義を聴いたときに必ず当該部分に関係しそうな過去問の問題を探すのだ。そして、今聞いた講義の内容でその問題が解けるかどうか考えてみるのである。しばらく考えたら模範解答をみて構わない。その講義内容で十分に過去問が解けるのであれば、それはそれでいいだろう。しかし、多くの場合、そのままでは解けないはずだ。それもそのはず、本試験では単一の論点だけでなく複合的、全体的に問われることが多いため、その習った論点部分だけでは解けないのだ。たいていは、もっと上位の問題意識を問うものであったり、他の論点との比較であったり、ちょっとひねってあったりするものである。ここで「ああ、こういう論点はこのようにひねるのか。」「ここは、違う分野のあの部分と比較されるのか」「もっと上位のこの部分の問題意識が問われるのか。ということは、同じ問題意識のこの部分も勉強しないと・・・」という試験委員と同じ問題意識を共有することになる。
特に「ちょっとひねってある」問題に対し弱い受験生が多い。ひねってあることに気づかないのだ。このひねりにうまく対処するだけで得点は飛躍的に伸びる。なぜならひねってあることに気づくということは、原則をよく知っている、すなわち基礎がきちんとできているうえに、問題意識がきちっとある、ということなのだ。
受験予備校のテキストだけで解けなければ、該当する専門図書(いわゆる基本書)も参照してみよう。基本書は必ずしも全部読む必要はない。専門家がどのように論点をさばいているか、それを参考にするのだ。
講義中や講義終了直後に過去問参照をやれば、講師が、ここが大事ですよ、という部分がなぜ大事なのかという理解が進む。また講師がポイントをはずして強調している部分があればそれは間違いだ、ということが明確にわかる利点もある。
講義の休み時間にタバコやコーヒーなをどを飲んでいるだけではもったいない。休憩時間こそ、直前の講義の過去問を参照し、よくわからなければ講師に質問でもしたいものだ。
過去問を講義に持っていくのはしんどいかもしれない。しかし、いつもゴールを意識してインプットすれば、意識しないよりも効率ははるかによい。ちょっとぐらい重い荷物をもってがんばってみよう。
過去問答練とは?
過去問答練とは、過去問を分析的に解くことである。
これはいわゆる計算科目、簿記、原価計算、経済(の一部)に有効であるが、理論科目でもやっておく必要がある。
これはいわゆるインプット講義が終了した時点でなるべく早く行うのがよい。この時期といえば、受験一回目であれば2月〜3月ごろであろう。実は、一番、受験生にとって忙しい時期だ。本格的な答練がはじまり、講義の復習もしなくてはいけないし、学生であれば大学の試験があるところもあろう。
この時期にしっかりと本試験の傾向を把握しているかしていないかで、その後の復習インプット、アウトプット演習の効率が全く違ってくるのだ。この時期に1週間〜2週間も時間をとられるのは痛い。だがうまくやれば、その後でこの1〜2週間の遅れなど、あっという間に、取り返せることは請合おう。繰り返しになるが、あの孫子だって言っているのだから。
敵を知り、己を知れば百戦百勝す
しかも、前述の過去問参照を普段からきちっと行っていれば、うまくいけば数日で済んでしまうだろう。理論科目ならまとめて1日でできないこともない。
より合格可能性を高めたいのなら、これほど効果的なものはないだろう。
ただし、注意事項がひとつある。
改正点である。簿記の連結は昔と今は違う部分があるし、昔は新会計基準などはなかった。商法も最近は改正に改正を重ねている。そこは、ある程度知ったうえで行う必要があろう。どこが改正点かわからなければ、自分で調べるか受験予備校の講師に聞くかすれば必ずわかる。受験予備校の出版している過去問解説にも載っていることもある。そのくらいの努力はしてみよう。また、逆説的ではあるが、あまり改正点にこだわり過ぎるのもよくない。その奥に流れる本質を探るのが目的であるのだから。
以前にもこのホームページに過去問答練の重要性を説いた文章を載せているのだが、「計算科目の問題でも実際に電卓をいれてやってみるのですか?」という質問がよく来る。
皆さんはどう考えるだろうか?
私は「当然に電卓をいれて実際にやってみるべきだ。そして時間がかかっても最後までやってみるべきだ」と答えている。
そうしないと本試験の本質を身体に叩き込むことが容易でないからだ。
理論科目については、本来であれば解答まで書いてみるのがよいだろうが、私は下書き段階まででも十分に効果があると考えている。
この過去問答練をやるために、過去問参照をやっていない(とってある)、という受験生からの相談があったこともあった。「実力試しのために過去問はとっておきたい」というのと似ているが、これは本末転倒である。そのような人には次のような返事を送っている。
「過去問答練は実力試しととらえてはいけない。あくまでも過去問の傾向を探り本質を実感するためのものであるから、実力で解ける解けないが問題なのではない。過去問参照によって過去問を解答まで含めて覚えてしまっているのであれば、それは過去問答練の手間が省けたということであり、より早い時期に過去問を消化してしまったということなのだ。過去問答練は過去問参照で手に負えない計算科目や理論科目の全体像を知るためのものである。過去問答練はあくまで過去問参照の補完的な手段であることを認識すべきである」
TOPページへ
姉妹サイト CPA-LAB公認会計士 合格体験記集