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過去問答練のやり方

 過去問答練とは、過去の本試験を分析的に解くことである。

・なぜ過去問答練をやる必要があるのか?

 過去問を自分でやることの必要性

 たいてい、予備校が過去問の分析をたててそれを答練に反映するため、過去問を受験生が真剣に分析することは不用といわれます。しかし、これはせっかくの本質的理解の手段、及び効率的学習の手段を捨てていると思います。

 過去問では、基本的な問題意識が繰り返し訊かれているからです。

 しかし、この考え方には批判もあります。それは、過去問で出た問題は2度とでないし、せいぜい似た問題がでる程度で、全く同じ問題は出ないのだから、根をつめて分析することは無意味だというものです。
 確かに過去問をみても同じ問題が繰り返しはでていません。しかし、同じ問題「意識」から発生する問題は繰り返し、毎年出題されていると思います。というよりも、過去問を分析することにより、無理やりでも共通点を導きだせば、それが毎年、問われる基本的事項であり、それを意識してインプットすることにより、より効率的に勉強できるのです。
 例えば商法でも、同じ問題はなくとも、「条文をきちんと読んでいるか?」「条文を読むための基礎知識をきちんと理解しているか?」「条文を分解して、論理的に組み立てて理解しているか」「代表的な判例を知っているか?」という試験委員共通の意識の上から、即ち、同じ問題意識から発生する問題が毎年出題されます。
 原価計算であれば、原価概念にはどのようなものがあるか、原価を理論的に正確に配分するにはどうすればよいか、新しい原価計算はどうあるべきか、という問題意識にみちみちています。特に、原価企画等の新しい原価計算に対する興味は並々ならぬものがあると思います。現行原価計算基準は、昭和30年代にできて以降、業界では散々批判や論争が繰り広げられています。その論争をしっかりと把握した上で、新しい原価計算を習得する必要があると思った次第です。
 もちろん、このような事は、多くの予備校講師がこの通り言ってくれます。しかし、この結論だけを聞いても、おそらく多くの受験生、特に入門生は、「実感」できないのです。

 この「実感で理解」しなければ、有効なインプットができません。(少なくとも私は)

 そのため「実感」を得るために過去問を自分で解く必要があると思ったのです。

 だから過去問を解くときは真剣に点数を取るためというよりも、すべてに流れる共通点は何かを探すためにやっているのだ!という意識をもって各科目づついっぺんに一気にやった方がいいと思います。そして間違った部分というのはおそらく、その共通点に繋がるインプットがうまくいっていなかたところですから、その共通点を意識しながらテキストを読むなり復習します。この「実感理解」があれば、未出題の所を勉強している時に、「あ、これはこういう角度から訊かれそうだな。とか、この部分は細かすぎるから、ここを問う問題はでないな」という事がわかりつつインプットできます。ただし、今は商法を例に出しましたが、商法は実感理解が一番、やりにくい科目でして、他の科目はもっと有効に効きます。で、実感理解は本質的理解に繋がります。

 結局、勉強というのは、文字を一字一句覚えることでなく、学問全体のイメージを頭の中に構築することであり、文字、テキスト、講義、答練は、そのイメージを構築するための媒介手段だと考えます。このイメージがテレパシーで直接、伝えられればいいのですが、多くの人はそれができないため、いろんな手段を使ってイメージ作りをしているのだと思います。

 それを言い換えたのが実感理解とも言えると思います。

 

 過去問答練のポイント(簿記、原計、経済)〜論文編

 一応時間は測り、2時間で仕上げるようにする。ちゃんとボールペンで解答を作成する。

 ただし、2時間が経過しても解答をみてはいけない。ちょっと一服して頭をクリーンにして続きをやる。ここからボールペンの色を変える(例えば青とか)

 どうしてもわからない部分は、解答をみずに、テキストや基本書で確認する。

 答え合わせをする。

 これを6年分ぐらいやれば、実力アップ間違いなしである。10年ぶんできればさらによいだろう。私は6年分やった。おそらくこれをやらなければ落ちていたと思う。ただし、基準が大きく変わっている連結の過去問はやる必要はないかも知れない。(混乱するので)

 結構、これをやるのはしんどいのだ。完答するまで時間をかけるから、へたをすると2問で4〜5時間かかる。

 でも、これをやると本試験で何が問われているのか、よくわかるはずである。というより、本試験で問われていることを見つけ出すのが主な目的であるからそのつもりでやらなければ意味がない。すると、残された時間で何をやるべきか、必ずわかる。

 

過去問答練のポイント(財表、商法、経営、監査)〜論文編

 くわしく答案まで書く必要はないだろう。ただし、本試験同様の答案構成まではやってみる必要はあると思う。これも6年分ぐらいできれば、いいと思う。

 計算系同様、「本試験で問われている事は何か?」を、会得することを十分に意識してやらないと意味がないので注意。

 

つづいて短答編

短答も論文同様、過去問答練がたいへんよく効きます。ひとつの科目をいっきにH7年分からやってしまいましょう。


 「学問の本質とは」でも述べていますが、私は勉強はイメージ構築であると考えています。ここでの「実感での理解」は、まさに「イメージ構築に成功」した瞬間であると思います。

「本試験が繰り返し問うイメージ」−>「予備校の解釈」−>「テキストや講義」−>「受験生の頭の中のイメージ」

よりも

「本試験が繰り返し問うイメージ」−>「受験生の頭の中のイメージ」

と、なるべく間をとった方が理解しやすのです。だから、過去問答練を横着せず自分でやることが大切なのです。
もちろん、それが合わない人、予備校解釈でいける人などはやる必要ないでしょう。しかし、そんな人は極少数だと思います。


 ちなみに、TAC財表田中講師は、2000年上級最初の講義で、過去問の大切さを強調していました。イメージうんぬんは言ってませんが、田中講師も私と似た考えをもっているのかもしれません。

過去問答練を行う時期についての質問がよくきますので、私見を下に述べます。(当BBSからの転載です)

Q 過去問答練を行うのはいつがいいのですか?

 いつでもいいのですが参考までに私の考えを記しておきます。
上級が始まったあたりで1回(もう今でもいいですね)。ただしこの段階では解けない問題も多いでしょうから、しゃかりきになって電卓をたたいたり六法をみる必要はないと思います。「ふーん、こんな問題がでるのか・・・」というのをつかんでください。数時間あれば5年分ぐらいさっとみれるはずです。そして、理論科目については各問題をコピーして、講義の前にその科目の問題をさっとみておいて、講義で該当する部分を講師が説明したら帰り道にでも、その教わった内容で解答が書けるかどうか考えてみてください。家に帰って解答をみて、果たしてきょうの講義内容で書けたかどうか、自問自答してみてください。きっと、講義で習った通りには書けないはずです。それは、試験にはかならず「ひねり」が加えてあるからです。講義で習った内容からどうすれば解答が書けるのか、それを必死に考えれば、「本試験特有のひねり」に対処する訓練となります。
 これを繰り返していると、まだ本試験に出ていない箇所でも勉強をしているうちに、「ああ、本試験だったら、こういう角度(ひねり)で問われるかもなあ・・」なんて考えつつインプットできます。こうなるとしめたもんです。
 上級講義(インプット)が一通り終わったところで、一度、本気で解いてみます。特に計算問題は、最後まで解ききります。具体的には勉強法のページをみてください。理論については答案構成まででいいと思います。商法は条文はすべて下書き用紙に出し切ってみましょう。上級講義が終わっていれば、理論的には過去問はすべて解けるはずですよね。でも、実際には解けない場所がたくさんあるはず。それがあなたの弱点ですから、そこを重点に復習するのがいいのではないでしょうか。過去問答練のやり方でも述べている通り、本試験で繰り返し問われる基本事項を「自ら気づく」ことが最大のねらいですから、いつもそれを意識することを忘れないようにしてください。
 長くなりましたが、時期でいうと、軽く解くのは今、本気で解くのは上級インプット講義終了後(2月or3月頃)ということになるでしょうか。
 ちなみに上記は論文の話です。
 短答の過去問は4月に入ってから一気に2日ぐらい時間をとって全部やってしまうのがいいのではないでしょうか。論文よりも前にやってはいけません。必ず論文を先にきちんとやるのが大切です。それは論文の方が、より本質的な事柄が聞かれているからです。そちらを片付けずに枝葉末節な議論も含まれる短答の過去問をやるべきはありません。で、短答過去問をやったら、短答に特化する短答直前期までのインプット(論文)は、短答過去問で問われそうな部分も意識しながら勉強すれば効率的でしょう。


Q 入門の時期から過去問を解く必要があるか?

 真剣に解く必要はないと思います。ただ、ゴールを知っておくことはいいことですから、入門のうちから過去問の問題集を購入し、ことあるごとに参照するのはとてもいいことだと思います。実力試しのためにもったいないからとっておこうなんていう考えは起こさないのが得策です。入門で勉強している時も、「ははあ、この論点は、こういう風に本試験に出るのか・・・」ということを考えつつインプットすれば、かなり効率的に、本試験が問う本質を理解することができると思います。


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