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さよなら原価率 (Spok's LogT時代のものです)

 多くの受験生が悩む特商の原価率。タイトルは、さよならとなっていますが、この趣旨は、不必要に過大に悩む必要はない、という程度の意味です。


こんばんは○○さん。
さて、原価率の話ですが、まず重要なことをひとつ。

原価率が出なくても合格点は取れる

ということです。
 本試験において原価率がでなければ、合格点が取れないという問題はでません。例え、出たとしても、その原価率は、簡単に誰でも導出できるものであるはずです。
考えてみてください。試験委員は、簿記の構造を理解しているかどうかを問うているのです。そのポイントはひとつだけではありません。いろんな論点を聞きたいのです。原価率はその論点のひとつにすぎません。試験で問われる論点のうち、5割〜6割ほど取れればいいのですから、原価率はたとえでなくても他の論点できっちり得点できればいいのです。だから本試験の試験委員の作問で原価率が出なければ全滅、などという問題は作らないのです。他にも問いたい論点が問えなくなってしまうでしょ。
 たまに予備校の総合問題で原価率が出ないとほとんど全滅、という問題がありますが、悪問中の悪問です。そんな問題はまず出ません。繰り返しますが、そういう問題であるならば、必ず、原価率は簡単に出る問題になるはずです。
 だから総合問題では、原価率の導出は最後にしておいて、それ以外の論点を先に解答するのが鉄則です。原価率なんかでもたもたして、時間が足りなくて正解できるところを落とすのが一番やばいです。逆に言うと、どの回答欄は、原価率が出なくても解答できるか、その見極めが大切です。それが簿記の構造を理解するということにつながります。
 ちなみに、私は予備校の総合問題において初見で原価率が出たことは上級期では、ゼロでした。ゼロです。(それでいいとは思っていませんが・・・)

 そうはいっても、特殊商品売買の問題では原価率がメインの論点ですから、導出できればそれに越したことはないでしょう。一応、私の理解を示しておきます。
まず

「原価率って何でしょう?」

これを理解していないと特殊商品売買は難解なままです。

「売価に占める原価の割合でしょう」って?

それだけでは不十分です。

その「売価」って何でしょう。「原価」って何でしょう?

 実務の世界では、原価率は値引・返品・割戻をした後の売価を使います。販売後の確定した原価率ですね。実績をみるために使いますから当然です。ただしあくまでも一般的に、です。企業によって割戻は含めないなど、実際は様々です。当然ですが、割り切れることはまずあり得ません。
 ところが、受験上は、変な原価率を使います。
 分母の売り上げには、値引・割戻を控除する前の売価を使うのです。
 原価は実務と同様、値引・返品・割戻を控除した後を使いますね。
 この原価率の意味するところは何でしょうか。
 それは

「定価販売の原価率」
 
または

「事前原価率」(仮想原価率、理想原価率)

なのです。

すべての商品を定価販売したと仮定した時の原価率なのです。または、すべての商品をこれだけの原価率で販売したいという、事前的なものと考えることができます。
このように受験での原価率とは、受験だけの特殊なものと考えてください。

つぎに、大事なポイントは、原価率の変動についてです。
それは

「前期に仕入れた商品も、今期は今期の原価率で販売する」

という前提です。

例えば、ポケモンTシャツを仕入れて、販売している商社を考えます。
前期末に500枚の売れ残りが発生し、期末在庫となりました。前期は原価率80%で販売していました。今期は、前期ほどにの人気にはならないと判断して、値下げをし、原価率90%で販売することにしました。(値下げは、値引・返品・割戻、割引とは違うので注意!!)
 今期、仕入は10,000枚です。この今期仕入れ予定の10,000枚は原価率90%は当然ですが、前期売れ残った500枚は、どの原価率で売りますか?受験上は90%で売ると仮定します。(実際の世界でもそうでしょうが・・・)。
私は、これを前期仕入れた分は前期の原価率で売るのではないか?と勘違いして覚えていたため、理解に苦しみました。

さらに、商品販売は仕訳が重要です。
期中、期末での仕訳がどのように行われているかがわかっていれば、勘定に含まれる数字が何と何の積み重ねからきているかがわかるようになります。ボックス図も確かに重要ですが、仕訳さえわかっていれば、時間はかかってもなんとかなります。


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