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特商が流れる川

特商も簿記という川を流れるひとつのあぶくのひとつに過ぎません。本来ならば、川を理解してから、あぶくを研究するのでしょうが、ここでは逆に、あぶくから、川の流れを理解してみようと試みます。


どうもすぽっくです。
さて、試用品販売の対照勘定法についてのご質問ですが・・・。
 前期試送当期返品の商品で、前期末にはどう処理されていたでしょう?
 前期末にはまだ実現していないわけですから、仕入勘定から試用品勘定(又は繰越商品勘定)に振り返られています。対照勘定はそのままですね。
 んで今期になって、商品が返品されてきました。
ということは、この時点で、試用品ではなくて手許商品になったわけです。
 では、理論的には、試用品から手許商品に振り替えて、対照勘定も取り消さなくてはなりませんね。でも、手許商品は期中は動かさない約束になっているので、たいてい、対照勘定を取り消しただけにして、期末で残りの処理をします。また、前期に試用品勘定を使わず、繰越商品勘定を使用していた場合は、対照勘定を取り消すだけで処理は完了します。
 さて、返品された商品は、今期に今期の原価率で販売されます。または、販売予定とされます。だから、「今期の原価率」の算定の際、「原価」の計算にこの商品の分を含める必要があります。(売れ残れば、期末商品となる。)
では、当期試送当期返品の商品はどうでしょうか。
 当期中の処理は、対照勘定を起こしただけですよね。だから、これを取り消すだけです。今期の原価率の算定にはまったく影響しないのです。というと混乱するかもしれません。正確にいうと戻ってきた商品は今期、また販売されるわけですから、「原価」の計算に含めます。しかし、それは何ら処理をしなくても、勘定上は自動的に含まれているのです。(逆にいえば、これが三分法の利点)
 全く理論的に言えば(簿記によって企業活動を忠実に表現しようとすれば)、期中に対照勘定を起こすだけでなく、その時に、仕入勘定から試用品勘定に振りかえて、さらに返品時には、対照勘定を取り消して、試用品勘定から仕入勘定に振りかえる必要があります。しかし、期中に仕入ー試用品の振り替えは行われないのです。それは「面倒だから」。そんなのは期中に残ったやつに対してだけやればいいでしょ!てなもんです。

 試用品販売の理解の仕方は他にもあります。私のは一例ということで、ご理解ください。

 一方、割賦販売の回収基準、未実現利益控除法です。

 この場合、前期にしろ、今期にしろ、品物があいてに渡った時点で、販売したとみなすわけですから(財表でいう所の実現の要件を満たす)、いったん、販売したものが戻ってきても、それは新たな仕入れであり、今期の原価率算定において、「原価」の計算に含める必要があります。(問題によっては期末商品に含める)
 ちなみに、割賦の場合は取り戻しは、試用の返品とは全く性質が違います。割賦の取り戻しは、割賦の料金をためている客から、この野郎、金を払わないなら品物返せ!といって取り戻したものです。

 どれにしても、商品の動きをみれば、今期販売(予定)のものは、すべて今期の原価率の算定に含まれるのです。
 ただ、期中での処理の違いによって、改めて、原価(ここでは仕入勘定)にプラスしなければならないかどうかが違うだけなのです。

まとめると

前期試送今期返品・・・前期に試用品勘定で処理したので、今期の原価(仕入勘定)に新たにプラス。ただし、きちんと期末に試用品勘定の決算修正をしていれば、実はプラスする必要はない。(自動的にプラスされる)
 た、前期に繰越商品勘定で処理していれば、通常の決算修正仕訳で、仕入勘定に自動的にプラスされるので、特別な処理をする必要なし。

今期試送今期返品・・・自動的に原価は仕入勘定に含まれているので、何もせず
割賦前期販売今期取り戻し・・・新たな商品の流入なので、原価(仕入勘定)にプラス
割賦今期販売今期取り戻し・・・上と同様。

まあ、原則として、試用品販売は新たにプラスしない、割賦販売は新たにプラスすると覚えておいて、試用品の前期分の処理によっては気をつけなければならないというところでしょしょうか。

P/Lの当期仕入高は、企業に新たに流入した商品の合計です。
ですので、試用に関する返品高は一切、入りません。(前期試送今期返品分は、前期繰越商品の中に含まれているし、当期試送当期返品分は、そもそも仕入勘定に含まれている)
逆に、割賦の取り戻し商品は新たな商品流入なので、P/Lの当期仕入高に新たに入れます。

なかなか、イメージしずらいと思います。

アクセスはあまり勧めませんが、やるなら、特殊商品売買、一般商品売買だけを集めて、まとめ解きをするのがよいかもしれません。しかし、基礎期以外はやる必要はないです。

上の方に書きましたが、商品売買は仕訳が重要です。
もし、本試験でひねってだされたら、期中にちょっと特殊な仕訳が入っている可能性があります。
しかし、仕訳をたんねんに追って、「この勘定には、この数字と、この数字が入っている」ということがわかれば、絶対に解けるはずです。

「商品売買は仕訳が重要」

これを肝にやるのがよろしいかと・・・。
私の攻略法は、アクセス基礎期と直前ドクター、マスター問題集の商品売買だけのまとめ解きを4月ごろやりました。これでだいぶ、理解が深まりました。
あと大事なことを忘れていました。問題を解くたびに、基本テキストに戻って確認することはものすごく重要だと思います。TACのテキストが特別にいいとは思っていませんが、私の基本テキストはもう、書き込みだらけで、いまでは私にとって最強のテキストとなっています。この基本テキストに戻らずにいると、知識の定着があやふやなままになりがちだと思います。
もし、基本テキスト、問題集を4回解いていないなら、できれば5回解いてから総合問題に取りかかった方がいいです。去年の私は、1月に入門3を解きなおしていました。すっごくためになりました。
とにかく、

「いったい、何の売価と何の原価を比較しようとしているのか」

これを常に考えながらやらないと、いくら問題を解いても理解は深まりません。

参考になれば幸いです。

PS 一般商品売買ですが、小売り棚卸法はでる可能性は低い(LEC戸原講師)
のであまりしゃかりきにならず、他に時間を回した方がよいかもしれません。


こんばんは。○○さん。

一応、ここで簿記の基本的な前提を確認しておきます。
それは、

「簿記は企業の一面を貨幣価値で表現するための一手段に過ぎず、万能ではない」
「現実の処理は、忠実性と効率性のバランスのうえになりたっている」

ということです。
 もちろん、簿記は勉強すればするほど、その構造の美しさ、有用性、実用性等はすばらしいです。確かに世紀の発明品だと思います。
 しかし、その簿記は企業の実状を知る(表す)ための手段に過ぎません。だから、簿記のルールを絶対視して覚えるのでなく、「企業活動を忠実に写像するためには、簿記上、どのような処理をするのが一番よいのか?」ということを考えながら勉強する必要があるのです。

 例えば、試用品販売をしている企業の販売活動を忠実に写像(表現)するためにはどうすればよいでしょうか。
 試用品販売を写像するための仕訳はいくつか方法がありますよね。

 分記法、総記法、対照勘定法、区分法・・・。試用品勘定を使うか否か・・・。

 どれを使うのがよいでしょうか?

 もし、企業が試用品は所有権は移転していないから、そのへんはきっちり帳簿に残しておきたいと思ったら、実は、区分法のその都度法が一番的確です。
 商品試送時に仕入勘定から試用品勘定に振り替えてくことで、試送はしたけど所有権はあるぞ、ということを示します。買い取りの意思表示があれば、試用品を仕入勘定に戻します。期末には決算整理仕訳で自動的に売上原価となります。
 でも、これでは面倒だと、たいていの企業は考えます。「効率性」ということも企業活動の上では大事ですから、買い取りの意思表示があったときには売り上げだけ計上して、試用品を仕入勘定に戻すのは、期末にいっぺんにやってしまおう、と考えます。これが、期末一括法となります。
 以上のことは積送品販売にも妥当します。
 さらに企業は考えます。もっと簡便にやる方法はないだろうか、経理にあんまり人をさきたくないんだよなあ・・・。そこで、対照勘定法が生まれます。
 試送した時に仮勘定で売り上げを計上しておくだけにしておいて、買い取りの意思表示があった時にそれを取消、売り上げをたてるようにしよう!まあ、物の移動や所有権うんぬんは、期中に把握してなくても、どうせ別の補助台帳で把握しているし、いいよね、それどころか、そもそも所有権の移転はないのだから、処理する必要さえないんじゃな!?試用仮売上勘定が立っていることで、十分わかるよね、てなもんです。
 だから、期末の決算整理時も試用品勘定など使いません。いっきに繰越商品勘定を使って決算整理します。こうすると、何の意識もしないでも試送品の在庫分も自動的に時期に繰り越せるし簡単だよね。(もっとも、期末の繰越商品/仕入 ○○ の数字は、残った対照勘定か補助台帳から計算して、手許商品の数字と足し算する必要はある)
というわけなのです。だから、試用仮売上勘定を使う場合は、試用品勘定は使わないのが、本来は原則だったのです。
 ところが、とある試験委員が昔むかしに対照勘定法で試用品勘定を使う方法で試験に出してしまいました。それ以来、受験界では、試用品勘定を試用する方法が一般的となったのです。

 以上の歴史は私が加藤講師から聞いたものを再構成したものです。

 確かに、試用品勘定で把握しておけば、棚卸減耗が把握しやすいかもしれません。しかし、現実の企業は簿記の勘定だけで会計上の管理を行っているわけではありません。商品有高帳など、いろんな補助元帳や補助台帳を使って、管理をしていますから、減耗の数字ぐらい、簿外でわかってしまうのです。それよりも企業は仕訳の数をなるべく減らしたがります。

 そもそも仕入勘定を使うのも簡便的な方法ですよね。実体をただ忠実に表す、というだけなら、分記法か、売上原価対立法が理論的には一番適しています。でも仕訳の数が多くて大変ですよね。そこで「効率性」というキーワードから、商品を仕入れた時に、費用科目である仕入勘定で処理してしまうのが一般的となったのです。

 割賦販売も例えば、回収基準は現金主義ですから、本来的には発生主義会計では受け入れられない処理ですが、企業が保守的に考えてる、という実体を表そうとすると適合的だったりすることもあります。この「保守的」というのも「忠実性」と相反することがよくあります。ようは企業がどのように考え、それを表すにはどうすればよいか、ということです。逆に、割賦販売をしている企業が回収基準を採用していれば、「ああ、この企業は保守的に考えているな」、ということがわかるし、逆に引き渡し基準を採用していれば実現主義を採用しているな、ということがわかるし、さらに、期限到来基準を採用していれば、ちょっと保守的、でも、現実的には実現主義と同等の考え方なんだな、ということがわかります。(ただし実務ではそう、すっきとはいかないが・・・)
 この割賦販売の考え方はあくまで一例ですので、絶対視しないでください。
 売上げの過大計上というのが一番、利害関係者に嫌われますので、保守的な回収基準がいいという人もいます。さらには実務では法人税法が期限到来基準をとっていますので、実際の企業ではほとんど期限到来基準でしょう。

 まあ、以上も理解の一方法ですので、参考になれば幸いです。
 混乱させてしまっていたらごめんなさい。
 別に自分なりの理解でいっこうに構わないですよ。



(中略)

あと、聞かれてもいませんが連結のポイントを1点、お知らせしておきます。
それは

内部利益の除去

です。連結の作業のすべては、この内部利益の除去に集約されます。これを意識すれば連結はなんにも怖くありません。また、連結は企業結合会計の一部であり、連結が得意になれば、本支店会計、本社工場は、連結の100%子会社と全く同じであることに気づくはずです。

もうひとつ連結のサブ論点をあげるとすれば、資本結合後の利益按分です。親会社が子会社の株式を取得して以降の子会社の利益はどう配分すればよいのか、期首仕訳はそれでほとんど解決します。


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