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本試験再現答案 商法

第9問

一 問題1について

 発起人が設立登記前(57条)前に、営業用の財産を譲り受ける契約を締結することは、財産引受(168条1項6号)にあたる。したがって、その価格と譲渡人の氏名を定款に記載し(166条1項)、検査役の厳格な調査(173条、181条2項3項)を受ければ、本問の行為はできることになる。

ニ 問題2について

 会社の設立登記前に発起人が使用人となるべき者との間で締結する雇用契約(民法623条)は、開業準備行為にあたる。したがって、使用人となるべき者との間で雇用契約を締結することができるか否かは、自ら会社となる目的を持った権利能力のない社団である設立中の会社の機関である発起人の権限が開業準備行為にまで及ぶかどうかで決まることになる。
 これについて、発起人の権限を広く解釈するか、狭く解釈するかについては争いがある。
 この点について、発起人の権限を広く解釈し開業準備行為にまで認める説もあるが妥当でない。なぜなら、法は設立に際して資本充実を厳格に要請している(170条、177条、168条、173条、181条)からである。開業準備行為まで認めると、監視機構が未熟な設立中の会社においては、発起人の権限濫用により、不当に高い契約をする等、財産的基礎を害する恐れがあるからである。私は、この趣旨から、発起人の権限は、法律上直接的必要なものに限られ、168条1項6号は、その有用性から例外的に認められているものと解する。
 したがって、発起人の権限は、開業準備行為まで及ばず、本問の行為は、できないことになる。
 しかし、財産引受も事前の雇用契約も、同じ開業準備行為であるから、168条1項6号の類推適用の可否が問題となる。
 財産引受はその有用性から例外的に認められているものである。その点、使用人となるべき者との間で、雇用契約を締結することも、有用性がある。また、権限の濫用も、法定の要件を満たせば(166条1項等)、その心配はないと言える。この点から、財産引受と本問の契約を区別する理由はなく、本問の場合には166条1項6号の類推適用ができると解する。したがって、本問の契約はできると解する。

 

 

第10問

一 株主総会決議に何らかの瑕疵がある場合、本来、その決議は無効となるはずである。

 しかし、株式会社には利害関係者が多数おり、一般原則を貫くと法的安定性を害するため、及び、その可及的制限の必要性から法は、決議取消の訴え(247条)、決議無効の訴え(252条)、決議不存在の訴え(252条)を設けている。
 したがって、株主が株主総会決議の効力を争うには、以上の制度を利用するか、あてはまらない場合は一般原則によることになる。

ニ 共通点 三者の訴えは共に、画一的確定がなされ(247条2項、252条、109条)、遡及効は阻止されていない(247条、252条は110条を準用していない)。

三 相違点 次に、決議取消の訴え(247条)は、形成訴訟であり、訴えによってでしか、主張できない。これに対し、決議無効・不存在の訴えは確認訴訟である。

四  次に個別的相違点について述べる。

 1 まず決議取消の訴え(247条)について。これは、瑕疵の程度が軽い場合、瑕疵の判定も時間の経過とともに困難となることから、法的安定性を重視し利害関係者を保護するために設けられたものである。247条の株主の範囲について争いはあるが、条文に制限がないこと、及び、247条の趣旨が公正を守ることにもあることから、株主の範囲に制限はないと解する。
 まず、招集の手続、又は、決議の方法が法令に違反した時や著しく不公正な時は(247条1項1号)、決議取消の訴えの対象となる。ただし、招集手続の瑕疵が著しい時は、法律上、株主総会とは認められず、下に述べる不存在の主張によることとなると解する。
 また、こうした手続違反の場合は、裁量棄却も認められる(251条)

 2 次に決議の内容が定款に違反する時も(247条1項2号)、決議取消の対象となる。ただし、内容が法令に違反する時は、以下で述べる無効主張をすることができると解する。

 3 また、特別利害関係人の議決権行使により、著しく不当な決議がなされた時も、決議取消の訴えの対象となる。

五 決議無効の訴えについて。 決議内容が法令に違反する場合は一般原則により、決議の無効を主張することになる。ただし法の画一的確定を欲する者は、252条の訴えを起こすことができる。

六 決議不存在の訴えについて。 決議が行われていない時は、一般原則により、決議の不存在を主張することになる。また、上記の通り、招集手続の瑕疵が著しい場合は、不存在となると解する。画一的確定については決議無効の訴え同様である。

 以上のように、瑕疵の程度に応じて、株主は株主総会の効力について争うことになる。


 はい、ちょっと失敗しました。第9問。論理矛盾を起こしています。発起人の権限が開業準備行為まで及ばないとしているのに、類推適用を許しています。こんな理由で類推適用を許したら発起人の権限は、開業準備行為まで及ぶとしていることと同じになっています。ただ、ものすごく善意に解釈すれば、「有用性」のない開業準備行為は、類推適用を許さず、本来的に開業準備行為まで権限は及ばないのだから、できない、、という説も成り立たないことはないとは思うので、完全な論理矛盾ではない・・・と試験委員が思ってくれることを祈っていました。実は類推適用については、答案を清書している途中で気づいたのです。それまでは、「開業準備行為まで発起人の権限は及ばないので、できない」というので終わる予定だったのです・・・。それが、あれ!同じ開業準備行為じゃん、あれ類推!?等と考えて、そこからは答案構成なしに勢いで書いてしまいました・・・。同一性説も書いていないしね・・・というか、自分ではいらないと思ってしまいました。なんかもうっちょっと余計な事を書いたような気がするのですが、忘れました。
 第10問は、どうなんでしょ。とにかく、問いに答える、ということを重視して書きました。可及的制限の記述がないね・・・。制度の理由をあんまり書いてないしね・・・。

 商法得意のつもりだったのに、この程度でした。長瀬・森村講師に合わせる顔がありません。試験が終わって、商法を見なおして大ショックだったので、再現せずにおりました。この答案を再現したのは、かなりたってからなので、細かい部分は違う部分が結構あると思います。でも、大筋でこんなもんです。

 ま、失敗した科目があっても、他でカバーすれば合格するという例ですね。ただ、私がこんな答案を書いたからといって長瀬・森村講師の指導がよくない、ということでは決してないと思います。最後の科目でつかれもあって、私が現場でちょっと舞い上がったのが原因だと思います。私は設立が苦手な個所だったものですから、設立がでたら再狭義説でふんばる!と決めていたのです。この硬直性がよくなかったのかも知れません。

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