残業代なしの時代のホームラン

2022/07/12
会計士補(当時)として監査法人入所。

試験に受かっても、実務ではわからないことだらけ。

中小法人だったので教育制度などあるわけもなく、昔ながらの、「会計士補って給料もらって勉強できるんだから、いい身分だよね」と言われていました。

残業代はありません。完全定額の働かせ放題。そんな時代でした。(今は、そんなことはないでしょう)。
もっとも、そんなブラック体質でもなかったので、私自身は特に不満はありませんでした。

往査に行くとわからないことがでてきます。

私はその日のうちに事務所に戻り、図書室にこもり、あるいは残っている会計士の先輩に聞くなどして、なるべくその日のうちに疑問は解消するようにしていました。
もちろん残業代などでません。残業代の制度があったとしても、申請しなかったでしょう。

でも、このほんのちょっとの努力を毎日継続していくと、あっというまに同期どころか、シニアの先輩をも追い抜いていくことができます。
私は自分で5%の複利計算の努力、と勝手に名付けていましたが、これを一度だけでなく、毎日やっていれば、会計・税務・監査の実力はあっという間に一人前になれること請け合いです。
そんなことやりたくない?残業代もでないのに?おかしいんじゃない?時代遅れ。そういうことは監査法人が教育としてやるべきことだよね。
様々な批判がありそうです。働き方は様々ですから、強制するつもりは全くありません。
私自身も強制されたことはありません。

でも、問題を解決すると快感~なんですよ。

だから多少疲れていても、この快感を求めて事務所に戻っていたのです。

すると、そのうち、自分の問題だけでなく、先輩の問題も解決できることに気がつきました。

そう、監査部屋で先輩とクライアントが協議していること、先輩同士で議論していること、それに聞き耳を立てておきます。

その日のうちに事務所に戻って、自分なりに調べて、翌日、先輩と議論したり、こんな資料ありました、などとコミュニケーションします。
多くの場合は、「もうそれは検討済み」「それは方向性が違う」「解決済み」とかになります。

でもたまーに、「お、そうだったのか、ありがとう」というホームランがでることがあります。

これが快感でしたね。

これを繰り返していけば、スポックさんは自分で調べて行動できるから、もっとこういうアサインがいいのではないか、などと業務の幅も広がっていきます。

今は、リモートワークが主流となり、こういうことも難しくなっているのだろうな、と想像はしています。
でも、リモートワークならリモートワークなりにできることもあるはずです。

こんなことを今の時代に言うのは気が引けますが、もし私が今、トレイニーであれば、また似たようなことをしているでしょう。