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TOP > 暗記の秘策        (2004/7/3)

秘策・・・と聞くと、それだけでなんか合格したような気分になるかもしれないが、もちろんそんなことはない。
秘策というのは、秘策であるからこそ、実行は難しいものなのだ。だが、やり遂げれば、必ず効果があると、私は信じている。

さてみなさんは当然、有名な忘却曲線は知っていますよね。
では、それをきちんと活用している人はいるだろうか?
たぶんほとんどいないと思う。
せいぜい、復習を早いうちにやるように心がける、ぐらいまででしょうか?
あれだけ効果のほどが確立しているのに、ほとんどの人ができない理由、それは、この試験範囲のボリュームが多いことがまず第一にあげられる。

まず、忘却曲線を無視した勉強法で、それでいて、多くの受験生がとっている勉強法、それは、「回す」という勉強法だ。
30章のテキストがあったとすると、それを1ヶ月ぐらいで、逐次一日一章程度のペースで、1章、2章、3章、4章・・・・と読み込んだフリをして勉強したつもりになる、というものだ。
多少、前回回したところを読み直すこともあるだろうが、基本的には、昔の日本軍のように、おいっちに、おいっちに、と行進するように、前へ前へと進んでいくのである。これでは、第1章を次に復習するのは、短くても1か月後である。これでは、
ぜんぜんダメだ。

忘却曲線の応用でよくいわれるのは、
その事項を勉強した4時間後、1日後、3日後、1週間後、2週間後、1ヵ月後、3ヵ月後に復習すると記憶が定着する、というものだ。
まあ、もうちょっとはしょって、1日後、3日後、2週間後、1ヵ月後、に復習するとしよう。
すると、きょう復習しないといけないことはなんだろうか?

昨日の事
3日前の事
2週間前の事
1ヶ月前の事

この4つを復習しなければならない。
きょうが、最後の30日目だったとすると、29章、27章、16章、1章を復習すべきこととなる。まあ、これは一日一章という仮定をしているからわかるわけだが、実際のところ、じゃあ、2週間前に勉強した財表の項目を逐一記録している人はいるだろうか?
いたとして・・・・。では、それを7科目すべてをきちんと把握し、きょう復習すべき事項がわかる人がいるだろうか?
わかる人がいたとして・・・、あなた、きょう、そんなたくさんの項目を復習している時間がありますか?

まあ、なんだかんだと書いたが、ようは、
忘却曲線を正確に使いこなすのは無理だ、ということ。である。

(追記:2004合格体験記(Whiteさん)では、忘却曲線の攻略法が載っていますので、ご覧あれ。2004/11/27)

よくあることだが、「話としては当たり前のことでも、それを実践するのは、かなり難しいことが多い」ということだ。

しかし、その悲しい現実があるからこそ、この効果ある忘却曲線の原理を、少しでも有効に使えば、記憶力という点で、他の受験生に大きく差をつけることができる。ここに、その方法論のひとつを紹介しよう。もちろん、これは私の数少ない経験と理屈からあみだしたものであり、そのままあなたに妥当するかどうかはわからない。しかし、私は、かなり多くの人に有効であると信じている。

まず、忘却曲線の意味するところは、覚えてから4時間ごろまでに急速に記憶は失われ(50%)、そこから漸進的にまた記憶は下降し、24時間後からはだいたい水平線になる(25%程度)になる、ということだ。
本来的には、この4時間ぐらいのところで、もう一度、復習するのがよいのであろう。しかし、一般的には、翌日の復習が効果的といわれているので、とりあえずそれに従うことにしよう。

そこで、第一の秘策。

翌朝30分で、声に出してきのう行ったことの復習をせよ。
(朝声30分の秘策)

「なんだ、当たり前のことを・・」などと膝を折らないでほしい。これはとても重要なことだ。毎日続けるのだ。
では30分で、きのう数時間勉強したことを復習できるのであろうか?
「できるできない」、ではなく、「できるようにするにはどうすればよいかと考えよう」
まず、声に出して思い出すのは、とても有効だ。
あの非常識合格法で有名な石井講師が勧めるスピーチ学習は、かなり有効だと思う。
なにより、口でしゃべるのは速いのだ。
例えば商法でB4の解答用紙全部を書いて埋めるのに、早くても30分はかかろう。私は45分かかる。ではしゃべるのは?せいぜい3分である。つまり10倍の速さ。この速さを利用しないてはない。
きのう覚えたことを、朝つらつらーと声に出すのだ。それをするだけで、記憶力は強固になることは約束しよう。
しかも、机に向かう必要すらない。トイレできばりながら思い出すもよし、ご飯をたべながら思い出すもよし、テレビは見ないほうがいいかな。
え、朝は時間がないって?じゃあ、30分早く起きましょう。
どうしても朝はダメだって?じゃあ、昼休みでもいいでしょう。
そして、声に出せないところは・・・・。その「思い出せない気持ち悪さを少々味わってから」、テキストなりノートなりで確認しましょう。そして、思い出せなかったチェックマークでもつけておきましょう。
そう30分しゃべり続けるというのは、おそろしい量の復習ができる。もちろん、つまづいた部分はテキストなりを確認する時間が必要なので、30分まるまるしゃべることもないだろうが、それでも、かなりの量をしゃべることになろう。
逆にもし、復習が10分で終わったら?じゃあ、3回繰り返しましょう。早起きしすぎて、時間がもう20分あまっちゃった?じゃあプラス20分復習しましょう。

余談だが、私がお世話になった元LECの商法・長瀬講師は初回の講義の時に、確かにこういっていた。
「きょうのポイントはここです。この図を、きょう電車で帰るときに、思い出してください。思い出す練習だけでいいですから」と。
長瀬講師は、実に、見事に忘却曲線の一番やばい時間帯のときに思い出す復習をせよ、と指示を出していた。
果たして、あのとき、何人が実践していたのかねーーーー。
と。

そして第二の秘策。

きょうの勉強は、前回の復習をおこなってから。
(しゃくとり虫の秘策)

「またまた、当たり前のことを・・・」などと言わないでほしい。あなたは本当にやっているか?
しゃくとり虫が進むように、必ず、前回行った箇所を復習するのだ。まず、テキストをみないで、表紙だけ見つめて、声に出し、前回やったことを復習しよう。思い出せなかったり、つまづいたときに初めて、テキストをみよう。思い出す訓練なのだから。


そして第三の秘策。

寝る前30分で7科目の復習をせよ
(夢見る準備の秘策)

1科目、3分〜5分でかまわない。3分づつなら21分で終わる。
テキストの目次をみるか、作りかけの30分ノートみながら、科目の全体像のイメージを膨らますのだ。夜はもう疲れているから、無理に口に出す必要もない。(やってみるとわかるが、しゃべくり法は、異常に頭が疲れる)。テキストの目次をみて、なんとなーくでよいから、「ああ、この章にはこんな論点があったなあ・・・」などとぼんやり考える。作りかけの30分ノートをみて、「そういえば、こんな部分を間違えたなあ・・・」などと以前の自分を想像する。
たったそれだけで、記憶の定着率が上がるし、科目の全体像イメージ作りに役に立つ。何より、その日に勉強しなかった科目について、ちょっとでもかかわることで、忘却の悪魔を少しでも追い払うことができる、という点で、いいのだ。

と、以上の3秘策を続ければ、記憶力という点で他の受験生に大きなアドバンテージを保てると、私は信じている。
しかし、そう力まなくてもよい。もちろん、必ず毎日行わなくても、効果はある。私?毎日はできなかったですねー。
上級インプットが終わった2月〜3月ごろから、直前期までは、多少さぼる日はあった(特に第一の秘策は半分はさぼっていたかもしれない)が、ほとんどこの秘策は実践していた。特に第三の秘策は、これは必ず毎日やっていた。そもそも夜型人間なのでね・・・。朝は、早朝答練があるため、なかなかフルに30分とれることはなかったが、それでも、トイレ、歯磨き中などの時間をやりくりしていた。また予備校に向かう時間も、思い出し訓練には最適の時間だった。
するとね、上級インプットはすでに終わっているから、基本的に勉強はすべて復習なのだが、一日の勉強のほとんどは、復習の復習(かそのまた復習)で半分は使っていたと思う。もう半分で、通常の復習をやっていた。

また、どうしても覚えておかなければならない事項を常に朝復習するのも有効だ。私は二次試験のときは、監査基準の丸覚えのため、集中して3週間ほどは毎日、朝、10分ほど使って唱和していた。三次試験のときは、監査報告書の文言を暗記するために1週間の早朝はすべて、監査報告書唱和に使っていた。

何せ、これはあくまでも例である。忘却曲線をどう味方につけるかは、あなたによるあなたのためのあなた自身の工夫が必要だ。簡単なことだ。短期間で必要なことを繰り返すための仕掛けをどうしておけばよいのか、ということを考えればいいのである。

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