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TOP > 簿記の復習方法           (2004/6/29)

簿記の総合問題。公認会計士試験を象徴するものである。
専門学校で、電卓かちゃかちゃ、のイメージは、簿記総合問題を解く姿そのものであろう。

皆さんは、簿記の総合問題を解いたあと、どうしているだろうか?
そもそも総合問題ってなんのために解くのでしょうか?

私は次の3点だと思う。

・ 初見の問題に対処する練習
・ スピードアップの練習
・ 苦手論点を探す手段

初見の問題に対する対処は、全国模試の問題が代表例であり、そもそも復習する必要のない問題であるからここでは省く。
スピードアップの練習も、私は3番目の苦手論点を探す手段に含まれると思うので、この2項目につき同時に述べることにする。

さて良問というのは、苦手論点を効率的に浮き彫りにできる問題をいうのだ、思う。

で、そのためには、以前にも書いた「
戻ることを恐れない」勇気が必要だ。
必ず、「間違えた箇所の該当するテキストに戻って確認し、そのテキストの例題などをもう一度、いや何度も解いてみる」ことが重要だ。
 なぜ間違えたのか、テキストは完璧でも、総合問題演習特有の箇所でつまづいたのか、それとも、そもそも個別論点の理解、暗記が足りなかったのか(つまりテキストを消化していなかったのか)。いろいろ原因はあるだろう。しかし、間違ったのだから、そこは基礎に戻って復習するのだ。その問題の解法だけを覚えようとしたって、それは応用力に欠ける。また、その論点だけを復習するのでなく、関連する論点までちょっと範囲を広げて復習しておくのだ。たいへんかも知れないがそれを繰り返すことで、必ず理解は深まる。また総合問題演習で正解だったところでもちょっとでも自信がない部分があれば、それを機会にテキストや付属の問題集に戻って関連論点を解きなおすべきである。

「総合問題を解いた、うーん、70点ぐらいかな、間違えた論点の解答例を見て、と、ふむふむ、そうか、ここでこうするんだったな、よく覚えとかなきゃ。では次の総合問題をやろうかな。一日2問やるようにしているんだよね」
では、
ダメだ。

その間違えた部分の該当するテキストに戻り、基本問題集に戻り、徹底的にその関連論点を復習するのだ。
その復習のせいで、次の総合問題をやる時間がなくなってもかまわない。1日1問でも2日に1問でもかまわない。その復習をせずに、次の総合問題をやったところで、結局、身にならないのだから。受験生の多くが犯すミスは、間違えた部分
だけを復習し関連論点や上位論点に手をつけない、からだ。

総合問題をいくら繰り返したところで、簿記は得意にならない。
総合問題で発見された苦手論点を克服してはじめて簿記は点になる。


ところで、苦手論点がわらない、という人もいるのではないかと思う。
個別論点としては、別にわからない部分はないのだけれど、総合問題になったとたんに点がとれない。

それは、簿記の構造がわかっていない場合が多いと、思う。

そのためには、私は帳簿組織の演習&簿記理論を学ぶのがよいと思う。
どちらも、見た目には退屈だし、時間もかかる。
でも絶対に効果ある、と保証はできないが、私は信じている。


追補。
さっそくメールをいただいた。総合問題の中で、個別論点は問題なくても、推定部分や、集計でミスをすることが多いのはどうすればよいかと。そして下書き用紙はどうすればよいかと。
どうすればよいかといわれると、それは人による、としかいえないのだが、一応、私なりの見解を簡単に記しておく。

推定部分が解けないのは、まさに簿記の構造、または経理の構造理解がいまいちなのだと思う。
これこそ、帳簿組織をもう一度、復習することを勧める。

もうひとつ、下書き用紙は確かに悩むところではあるだろう。
問題をぱっとみて、さて、どのように下書き用紙をかくか、私も良く悩んだものだ。
ボックス図をかくのか、T勘定を書くのか、それとも問題文や解答用紙に直接書いていくのか。
もし、それが苦手であるならば、いくつかの苦手な問題を数題抜き出して、自分なりの、「下書き用紙の模範解答」を作っておくのはどうだろうか。
私は、そうきつく意識していたわけではないが、自分で「うん、この下書はよかった」と思ったものは、捨てずにとっておいた。
復習の時間がないときなどは、

問題分をよく読む。
下書用紙の下書?をざっと書く。
模範下書用紙と答えあわせをする。

ということもやっていた。(名づけるとすれば、「下書き答練」だろうか)
これは時間をかからないのでお勧めである。
(しかし、こればっかりやっていると、計算力が落ちるので注意)
これを繰り返していくと、「ああこの問題なら、下書き用紙はこのパターンで、この勘定はT勘定、ここの論点はボックス図、あとは仕訳を書くのと、直接解答用紙・・・・」などとわかるようになる。もちろん、それがベストの下書き用紙の書き方かどうかをあまり気にする必要はない。答えを出すのにプロセスは複数あるのだから、「大きく外していなければ大丈夫」なのだ。

T勘定を書いて集計するのは、その勘定についていろいろ面倒そうだな、という部分なのだから、問題文を最初に読んでいく時点でおおよその見当はつくはずだ。しかし、集計そのものは、問題文のBSやPLの勘定の横に書こうが、T勘定を書こうが、あまり変わらないと思う。T勘定の方が、「きれいに書けるので、ケアレスミスが少なくなる」という程度である。
T勘定を書くのがもっとも有効なのは、その勘定について、「推定」があるものである。または、その勘定について、反射的でなく、「じっくり考える必要がある勘定」のときもT勘定は有効だろう。
そもそも、T勘定を書かないと正確に集計できない、というのは、問題文の読み方が徹底していないだけの話であって、下書き用紙の書き方の問題ではない。ただ集計するだけならば、T勘定でも、問題文にきたなく連ねても、問題文からの拾い漏れがなければ、正しく集計できるのだ。
繰り返すが、T勘定、ボックス図を書かなくてはいけないのは、「推定」or「途中経過の数字を他へ流用する必要がある」とき、「仕訳」を書くのは、その仕訳について自信がないとき、である。これを見極めるには、口すっぱく言っている簿記の構造について理解しておくことだ。

と、ここまでは、まだまだミドルクラス?だ。
なぜなら、試験を満点とるつもりの練習方法だからだ。
いわゆる良問を繰り返す場合は上記でよいだろう。
私も3月ぐらいまでは上記のようにしていた。
もちろん、上記方法がダメなわけではない。次の応用に進むためには、いろいろなテクニックを知っておくのは有効だ。
しかし、ふと気づいた。

「どうせ試験時間というものは時間が足りないのが通常なのだから、満点をとるための勉強ばかりではいけない」

ここから直前期の下書き用紙内容選定方法である。直前期の初見問題への対処方法である。

・ 簡単な論点は下書き用紙は用いない
・ 簡単でない論点のうち、絶対に落としてはならない論点については丁寧に下書き用紙に書く
・ 簡単でない論点のうち、落としてもいい論点は、下書き用紙すら書かない。いや、原則として、解かない。(後でちょこっとはトライするが時間をかけない)

これは100点満点をとるための下書き用紙とはまったく違うものである。

ようは、「時間をかけて解いても間違ってしまう可能性が高い論点は、そもそも解かない、その分を中程度の論点の確実性に費やす」ということだ。

これで、「とんでもない失敗」は避けることができる。
だいたい試験というものは、「簡単な論点」「合格者の多くができる中程度論点」さえできていれば、大きくはずすことはない。
で、あまった時間で、最難関論点に挑戦するわけだが、ここでもなんとか、最難関論点の中のもっとも点のとれそうなところに狙いをつけて、じっくりをそこだけを狙うのである。
すると、最難関論点が5個ぐらいあれば、2個ぐらいもぎとることができる場合もある。すると簿記で他の受験生と差をつけることもできるのだ。
最難関論点で点をとるためには、理解が必要だ。それは、ここを参照して欲しい。(この受験生通説批判と上記主張は矛盾するわけではないので、うまく解釈してください)
多くの受験生は、この論点難易度を考慮しないまま全部を解こうとし、「結局、間違ってしまう論点に時間を費やしてしまい、短い時間で中程度論点を解くから、ケアレスミスなどで間違ってしまう」のだ。
完全主義者、簿記の得意なもの、試験なれしていない者、がはまるワナである。お気をつけあれ。ただし、基礎的な実力がないままに、点の取り方だけを考えていてもしょうがないので、まずは自分の実力のほどを、よく考えるのがよいだろう。

するとさらにこういう質問がでてくる。
「でも、どれが落としてはならない論点か、わからないのです」

その原因は2つあると思う。

・簿記の構造理解が足りない・・・・理解につとめましょう
・他の受験生の実力を知らない・・・・ここをご参照。

今はどうだか知らないが、連結のややこしい問題の場合、たとえば「資本連結の仕訳」が完璧にかける人間はほんの一握りだ。
なので、私の中では「資本連結は原則として解かない。簡単だと見切れば解く。時間が余れば、その中でも確実なものだけきちんと解く。したがって、タイムスケジュールなどは時間が余らない限り書かない」と決めていた。
成果連結は企業集団の状況さえきちんと把握すれば、比較的簡単に点がとれるので、きちんと下書き用紙に企業集団の状況を書いてから、解いていた。
あれだけ講義で必死に習った資本連結のタイムスケジュールなど、本番では基本的に書くつもりもなかった。というといいすぎだが、試験時間の早い時間には書かずに時間が余れば手をつけるぐらいに考えていた。
少数株主持分など、あわせられるはずもないので捨てる。一応金額は書くけど。なぜこういえるかといえば、周りの受験生のレベルをある程度自分なりに把握していたからだ。
ただ、この「捨てる」というのは、「そもそも勉強しない」ということとは違う。時間をかければちゃんと解けるようにはしておく。しかし、「本番でそんなものに時間をかけていたら、他が解けないのから、本番では捨てる」のである。

なんだか支離滅裂になってきたが、なんとなくでも、わかってもらえただろうか。
結局、どれをとるか、どれを捨てるか、がもっとも大切なのだから、それを判断するために、「敵を知り、己をしる」必要があるのだ。そして、受験生のレベルを知ったら、それと同じで安住してはいけない。そこから一歩抜きん出るにはどうすればよいか、考えるのである。

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