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簿記にだまされてはいけない (Spok's LogT時代のもの)

 簿記は戦略科目といわれます。本当でしょうか?

 簿記は会計士の基本ともいわれます。その通りだと思います。多くの講師が簿記は会計科目のすべての基本だから力を入れるように指導します。また、簿記ができなければ、他の科目を効率よく勉強できない、とか、簿記ができる人は他の科目もよくできる、などと言われます。

 これはウソです。

 というよりも一面しかみていません。

 簿記が会計の基本であり、大切なことはもちろんです。したがって、よく理解することが大切な事は論を待ちません。しかし、「簿記ができる」という事と「簿記のテストで点が取れる」ということは全く異なるものだという視点をもたねばなりません。これをイコールと考えるから、簿記ばっかりやるような無謀な指導が行われてしまうのです。
 「簿記ができる人は、他の科目もよくできるようになる」のは、本当と感じますが、「簿記の点が高い人は、他の科目もよくできるようになる」というのは、間違いと思います。肝心なのは、「簿記ができる」こと、言いかえれば、「簿記を理解している」ことなのです。さらに言いかえれば、「簿記を『理解による暗記』で覚えている」ことなのです。

 実は多くの講師が同様のことを言っています。「パターンで解くのはよくない。理解を大事にしなければ」と。しかし、その理解のための講義を講師はしないのです。いや私の想像では、そのような講義をできないのです。

 では簿記学習はどうすればよいか。

 多くの受験生は簿記の問題演習のやりすぎと思います。

 「基本書を読む。」 現状ではこれしかないと思います。本来なら、簿記の理解のための講座を予備校がやればいいと思うのですが、私が調べた限りそのような基本書精読講座はありませんでした。

 どのような基本書がいいのか。

 人に違うと思いますが、私は「簿記の考え方・学び方」や「簿記教科書」を読みました。

 基本書により理解を深めれば、未知の論点もなんとかなる場合が多いし、既知の論点も覚えやすく、忘れにくく、応用もききやすいのです。

 私は、予備校での簿記の点数は下から数えた方が早く、点数からみれば苦手科目でした。私の友人は簿記の点数はいつもよく、得意科目でした。でも、私は決してあせりませんでした。それは、予備校の問題が本試験の傾向と全く違うことを過去問分析で知っていたからです。絶対に本試験では点を取れると信じていました。

 2000年度短答式の結果は、友人は3問正解、私は7問正解でした。友人は簿記は難しかったと言いました。私は、6問は簡単に思えました。友人は、簿記の演習に時間をかけ、予備校問題の、いわゆるみたことある問題については、ものすごいスピードで、正確に解けるのですが、初見のみたことのない問題にはお手上げだったのです。

 ちなみに、論文では、第1問70点、第2問50点程度だったと思います。これで十分だったと思います。友人は第1問70点、第2問40点程度だったそうです。

 いたづらに簿記の演習量(問題量)を増やしても決して本試験には役に立ちません。

 演習を解法パターン暗記のためにやってはいけません。

 簿記にだまされてはいけないのです。

 他の科目への影響も、理解しているかどうかが、ポイントであって、テストの点が高いかどうかではないのです。

 「簿記は戦略科目だからしっかりやらねばならない。」

 その通りです。ただし「しっかり」の意味は「しっかり理解する」の意味であって「しっかり演習をする」という意味ではないことに注意しなければいけません。


 しかし、この「しっかり理解」するための方法をひとつとして、数少ない良問を繰り返し解くという、演習量は増やす必要があるかも知れません。

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