読まなくていい本

2022/09/04
私の受験時代と異なり、勉強法に関する書籍はたくさんでています。

ここでは、公認会計士受験生が読んでも時間の無駄になりそうなものを紹介します。
本に対する批判となりますが、私なりの論評となります。

監査法人の思い出

2022/09/01
私、監査好きなのです。
でも今はやっていません。ゼロから監査事業所を立ち上げるだけのリソースや気持ちの強さまではないですし。

その昔、会計士補時代、中堅監査法人に所属していました。

出入り自由の組織

その法人は、「うちは出入り自由の組織、外に出て学んで、また帰ってきてその知見を生かして、法人のバリューを上げて欲しい」というスローガンを常日頃、幹部勢が口にしていました。非常勤の方もそれなりに多い職場でした。

私が、2年目にして監査法人を退職しようとした理由はいくつかあるのですが、一番は、「このままでは三次試験(当時)に合格しない」という危機感でした。

仕事は大好きだったし、手を抜くのも嫌だったので、かなりの時間を仕事に使っていました。ワークホリックでした。

そうすると、三次試験の勉強などとてもじゃないけど手に付ける時間がとれず、焦っていました。

というわけで、法人スローガンを真に受けて、「いったん退職し、三次試験に専念し、頭と身体の調子を整えたい。」ということを申し出ました。

お前は対象ではない

すると、「貴方は出入り自由の対象ではない。辞めないで欲しい。」と突然の通告。そして、一度辞めれば戻れない、という趣旨のことを言われました。
何度も確認しました。が、全く納得できないことでした。

確かに、経営陣からみれば、会議で生意気なことを言って経営批判したりしていましたので、「こいつは体の良いこと言って一方通行で退職するつもりだな。」と思われたフシはあります。

だからなんなのでしょう。一方通行で辞めることはそもそも止められることではありませんしね。

ひょっとしたら、「ややこしいことばかり言うお前なんか、もう戻ってこなくていいよ」という趣旨だった可能性はゼロではありませんが、「貴方は出入り自由の対象ではないから、辞めないで欲しい」と繰り返し慰留されたので、そうではないものと信じています。


私は戻りたい気持ちありありで、それも伝えたのに、このサブスク働き者を逃したくないと思ったのかどうかわかりませんが(当時は残業代などつかなかった)、出入り自由の対象ではない、と繰り返し言われ、そう、私は、一方通行で退職せざるをえませんでした。

なので、仕方なく会計士補事務所として独立し、二度と、その法人に戻ることはありませんでした(若干の非常勤監査はさせてもらった)。

監査は好きだった

未だに謎の対応なのですが、本当は、監査法人に戻って監査をやりたかった。
特に、厳しくなりつつあった中小監査法人の監査手続と理論的な保証業務の品質とをマッチさせるようなことをしたかった。
その思いは果たされることなく、今に至っています。

つぶやかなかったこと

2022/08/29
ツイッターでつぶやこうとして、やっぱりやめたシリーズ

計算と理論の融合

計算と理論の融合って、理解して計算する、っていうことだよね。計算の裏側にある理論を知っておけば、っていうのは、昔からある王道。今までやってなかったのかよ。

サービス精神

専門学校はね、「自分の努力が足りなかった」、と思わせるぐらい、"十分"な教材と、親しみがあり共感できる講師を揃えることで、不合格者の悲しみを満足に変えようとするのです。

努力は方向性が大事です。

分厚いテキスト

応用無理だから、応用論点をすべて事前に演習しておく勉強法。。。

それで合格する人もいるでしょう。

そしてどんどん教材が分厚くなり、"こなせなかった自分が悪い。もっと根性必要だった。専門学校は悪くない。"という専門学校のリスクヘッジにしか、私には思えないだけ。

誰に相談する?

人生の岐路で相談すべきは、自分がもっとも多感だった、中学生高校生の頃の自分にだよ。

講師に相談したって、利害関係ある答えか、責任回避を前提とした答えしか返ってこないよ。

まあ、結論決まってて、背中だけ押してもらいたいのならいいけどね。

自分の人生

資格の勉強は自分でするもんで、誰かについていくもんとちゃいまっせ。なんで大事な自分の人生を人に預けるのかな。

よくある威勢のいいアドバイス

入門期: 理解できなくていいから、わからなくても割り切って先に進め

応用期: 問題数をこなせば自然と理解はついてくる

直前期: 直前期に理解とか言っていないで、とにかく暗記しろ

いったいいつ理解するの?
問題数こなすだけで、理解ついてきましたか?

予備校の不都合な真実

誰がための予備校か

専門学校講師もビジネス

最大のお客様は、残念ながら落ちる9割の人
リピートしてもらうために寄り添う、寄り添う。
厳しいこと言ったら他の寄り添い講師に流れちゃうからね。

本試験の全パターンの習得なんて、かえって非効率

①不親切(ヒネリのある)本試験問題でウッひゃー

本試験、ひっでーよ

親切な講師が本試験を解析

指示明確な予備校問題

受験生、親切な予備校問題に慣れる
先生が本試験分析してくれてるから安心!

親切問題を回転回転、慣れる慣れる

①に戻る

本試験解くために勉強してるんじゃないの

誰が顧客か?

 
会計士講師陣は落ちてしまう90%の人に支持されないと食っていけないんだよ。落ちた人のほうがたくさん課金してくれるんだよ。あきらめてもらったらチャリンってこないだよ。

この残酷な現実をよく考えたほうがいいね。

でも彼らに悪意はないよ。私が斜に構えているだけ。

会計士試験は努力測定試験なのか?

 
専門学校講師の方が作問が上手?

確かに慣れているでしょうね。
電卓強打&パターン解きや丸覚え努力した度は測るのはうまいかもですね

あれっ、でも受験生は本試験で合格答案を書くために勉強してるんですよね

会計士となるにふさわしい能力を選別するのが試験であって、努力測定試験じゃないよね

書評:東大教授が教える独学勉強法

2022/08/25

書評:東大教授が教える独学勉強法

柳川範之/草思社 kindle版
受験生オススメ度 8

親の都合で海外で学生生活を送り、日本の大学を通信教育で履修し、今は東京大学経済学部の教授をなさっている柳川先生による勉強法の本。

メインターゲットは研究者を目指す者や大学で学ぶ者という位置づけですが、資格試験の勉強法にも示唆に富む記載が随所にあります。
ここでは書評というよりも、柳川先生のお言葉を借りて、公認会計士試験に立ち向かうヒントを考えたいと思います。

理解のスピード

P30 「人によって学び方のスピードに大きな差があるのは当然であり、そしてスピードの速さが理解の質とは必ずしも一致しないのです。この点はとても大事なポイントです。」「さらに言えば、どういう順番で勉強すれば頭に入るかというのも、人によって大きく違うのです。」

資格試験においては、予備校の講義スピードは、あくまでも全範囲をこなすために一定程度機械的に振られたものであり、個々人に合わせたものではないことはもちろん、必要な理解の質を優先してスケジュールが組まれたものではありません。その点、自分の理解度、自分の性格によって、インプットスピードは変える必要があるのですが、現実には難しい部分があります。何かスピード感が違う、と感じた時に、自分でどう工夫できるかが問われるものと思います。

理解の方法は人によって異なる、タイプが異なれば本来は進捗度は個々によって異なる

P31「頭に入れておいてほしいのは、「自分は頭が悪いから」とか「勉強なんて向いてない」と思っている人も、実は理解のタイプが合わなかっただけかも知れない。いや、その場合がほとんだと言うことです。」

「勉強するうえで大切なことは、自分のタイプを知ることだと思います。」

P49「評価の高い本や参考書が自分にはまったくわからない場合でも、たまたま手に取ったそれほど知られていない参考書を読むとスッと頭に入ってくるという場合もあります」「ですから、いきなり本格的に勉強に取り組むのではなく、少し時間をかけていろんな試行錯誤をする準備期間を持つことが大切なのです。」

資格試験の特に初学者の罠となるのは、①試験日までの時間が限られており、専門学校のカリキュラムはそれをすべて消化する前提で組まれている、②初学者ゆえに全体像を見通せておらず、全体像がわかり、勉強法の道筋が見えてきた時には時間的に間に合わなくなっている、ので、仕方なく物量・時間をとにかくかける、というパワープレイを強いられ、それに合わなければ脱落してしまう、という点にあるのだと思います。

だから、
早い内に全体像を理解し(←入門書でもなんでもいいから科目の全体像を掴む)
段階に応じ、自分の習熟度に応じ勉強法が変わることを理解し(←だからといって、独善となり、原則よりはずれた方に行かないよう注意)
常に試行錯誤をしていくことが必要であろうと思います。

暗記のコツ

P55「私(柳川先生)の場合で言えば、暗記科目が苦手なので、どうしても何か覚えなくてはならないときは、なるべく理論を引きつけて覚えるという勉強のコツを持っています。」

東大教授でさえも、「コツ」として、理解を使っての暗記(理解を覚える)、をやっているということです。

「これまで受験勉強など解答テクニックの習得がしみついてしまっている人は、何でもかんでも素直に受け入れすぎる傾向があるようにみえます。」「あまりに素直に読み過ぎてしまうと、右から左に抜けていってしまうので、結局のところ本当の意味では何も身につかないんだと思います。」

勉強する、ということは、これまでの既成観念を持つ脳に傷を付ける行為であり、やはり苦しいものだと思います。簡単に入ってくるものは、簡単に抜けてしまう、ということでしょう。

応用力をつけるということ

P120「応用力をつけるには」「まずは基本をしっかり抑えること」「応用に取り組む際に、基本から少し変化させるということです。応用問題の難しさは、基本問題の時とは状況が変わっていることにあります。」「この「別の角度から見たり、状況を変えたりして」考えることこそが、応用問題を解くことでもあるのです。」

基本が分かっていても、応用問題が解けない、というのは、基本問題の中の暗黙の前提がわかっていない場合が多いように思います。著者の言うとおり、その基本とこの応用で、状況(前提)がどう違うのか、どこまで違えば、結論が異なってくるのか、それを考えることが応用力を付けることなのでしょう。

あとがき

勉強法について、とても示唆に富む本です。資格試験に臨む受験生も読む価値あると思います。

勉強法書籍の書評

2022/08/25
私の受験時代と異なり、今は多くの勉強法の書籍が出版され、しかも電子書籍で読めてしまう。
なんていい時代でしょう。

一方で選択肢が多すぎるのも困ったもの。
どの書籍がいいのか、読む前にはわかりませんね。

ということで私なりの10段階書評です。