書評:東大思考 「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく

2022/09/13
西岡壱誠
東洋経済新報社 2020/8 ver.1.0
おススメ度 6

正直、タイトルから、眉唾ものかな~と思って読み始めました。ところ、意外にいいこと書いています。

東大生は~、というのは、解像度が粗く、なんだかな~という表現ではありますが。

目的と手段

多くの人は「目的」がふわっとしたままで「手段」ばかりを考えます
東大生はどの科目で何点とれば合格なのか、どの科目でどれくらいの点数をとれば合格できるのかという目標設定をします
問題集を何回転する!とかいう目標がいかにむなしいか、とわかります。
それで何を得るのか、本試験にどういういい影響があるのか、そこを考えないといけません。

試験委員にどう説明するか。

説明を受けている相手(試験委員)を過大評価しすぎ
わかるでしょ?は通じない。
A→B→Cと書いてあったら理解できます。でも、A→Cだけ書いてあって、「Bは自分で入れられるよね?」と言われても、そんな難しいことはできないんです。Bは絶対に書かなければいけないものです。AとCをつなぐ、大切なワンクッションなのです。この「手段」を抜かして物事を説明してはいけないのです。
P162
()内はスポックによる

うなずきたいほど、うなずきたい部分です。
みんな論理だって説明するのがへたくそなのは、平均的受験生の答案練習の答案みれば一目瞭然です。
え、こんな簡単な言葉で説明するの?というぐらい平易な言葉で、でも、きちんと段階を踏む、ということが大事なのです。

裏側探しで新しい視点を手に入れる

頭のよい人は、あえて「反対の意見」を考える
改めて言うまでもないことですが、ロールプレイとして、あえて反対の立場に立って意見を考えるということですね。
P194の東大の過去問は、とってもおもしろいです。

伏線探し、ミクロとマクロの視点

「一見事件とつながらない伏線」を目ざとく見つけることができる。これが、探偵が事件を解決できる大きな要因のひとつなんです。
本試験のひねり、も、この伏線ですね。
P224の東大過去問もたいへんおもしろいです。
物事には、部分を見るミクロなものの見方と、全体を俯瞰するマクロなものの見方がある
ミクロとマクロ、両方を行き来することで、問題を解決できるようになる
いろんなことに応用できるものと思います。
本質的なことはわかりにくい
ここに気付き、本質は何かを問い続ける者が、遠回りのようで、あっという間に目的にたどり着くのだろうと思います。
そして
本質を見抜いただけで満足してはいけません。本質を見抜いたら、それを日常(試験問題)にどうリンクされるかを考えなければならない
()内はスポックによる。
わかる、のと、できる、のとでは、大きな違いがあります
思考法も同じです
実践の大切さを説いています。

感想

後半のあてはめは、ちょっと強引かつダルい感じはします。読むのは前半だけでもいいかなとは思います。世の中はそう単純でもないかな、という例にはなっています。

正直、タイトルのつけ方がどうなんだ、と感じますが、タイトルは著者ではく編集者がつけるので、こうなってしまったか、という感はあります。

ともあれ、馬鹿にせず、前半は公認会計士受験生にもためになることがたくさんあるように思います。むしろ、私の書評が頭悪い感じです。