同じ意味は同じ形式で。

2022/08/16
我々専門家が業務で作成する報告書は、論理的である必要がある。
迷いなく理解できる必要がある。(Spok's Logはプライベートブログですからね)

読めばわかる、ではなく、一見して、さっと見て、要旨がわかる、構造がわかるものである必要がある。

なので、同じ意味のものは、同じ言葉を用い、言い換えない。
言い換えが必要な時には、即ち、や、同等、などの用語を使い、同じ意味であることを明示してから使う。

文学ではないので、同じ言葉が何度でてきても構わない、同じ意味であるならば。

一方で、違う意味であるならば、同じ言葉は使ってはならない。当たり前であるが、意味を混同し、混乱してしまうからだ。そのために読み手の貴重な時間を奪ってしまう。

また、一見して構造がわかるようにするためには、同じ意味の文字、数字は、同じ形式、スタイルである必要がある

例えば、合計を太字にしたら、合計の意味である数字はすべて太字である。
もちろん、特定の合計だけを強調したいのであれば、それは他と違う意味なのだから、当該合計だけ太字にすればよい。

エクセルの同じ列に、違う意味の数字を並べない、そうせざるを得ない時は、必ず書式を異なるようにする。

これが守られていない報告書は意外に多い。
そうした報告書は読み取るのに時間がかかり、ストレスとなる。

私はスタッフが作成した報告書をチェックする時、まずここを指摘することが多い。
何度これが原則だと言っても、守れないスタッフもいる。

これを貫徹すると、すごく読みやすい報告書となるのにね。

何もかも手っ取り早くの時代

2022/08/13
ツイッターに代表されるように、昨今はなんでも手っ取り早く正解を手に入れることができる、と思われている時代のように感じます。

どんな複雑なことでも、頭のよい人にかかれば、簡単に説明されて、その結論だけを自分が取り入れればうまくいく。
そんな認識の人で埋め尽くされているように感じるきょうこのごろ、そんなんやったら、誰も苦労しないわ、と思いますね。

おそらく、Youtuberとか、FIREとか、簡単な原則だけで大成功みたいな、そういう人は確かにいるのだろうから、何でも正解さえあれば、その通りにやればうまく行く、と思うのでしょうかね。

これが果たして時代性によるものか、昔からある思考群が目立ってきているだけなのかよくわかりませんが。

私自身は、自分の足で稼いで、いろんな考え方、情報に触れた上で自分なりの判断を下していく、世の中に正解などないのだから、そのときの自分の納得のいくような最適解を選ぶか、最適解がないのであれば、ワーストにならないようにどうすればよいか、を必死に考えるタイプなので、正直、"正解あるでしょ思考" に、ついていけないなあ、と感じることが多いです。

美しい正解を手軽に求めることは、他人に自分の未来を委ねること。それは貴方の幸せなのでしょうか。

CPA-LABの収益

2022/07/29
CPA-LABやSpok'sLogは、昔々は広告バナーなどを貼り付けておりましたが、現在は削除したり失効しているので収益はありません(ひょっとしたらamazonのが残っているかもですが、微々たるものです)。

新CPA-LABは、そもそも広告バナーは貼っておりません。

今はもちろん赤字というか、ただのボランティアですし、昔の広告収入があった時代も、真っ赤でした。

10数年前の当時、広告収入が月に5000円程度。

支出は、月5万円を超えていました。
なぜなら、CPA-LAB奨学生という制度で、勉強日誌をつける方に、毎月1万円を支給していたからです。
また、年1回の合格体験記募集でも、1通1万円で募集し、10名以上の方に書いていただいていたので、大幅な赤字でした。

本当は、広告収入で持続できるような仕組みにできれば、と思ったこともありましたが、到底、桁が1つ足りないので、常に持ち出しでした。

それが原因で更新を止めたわけではなく、単に仕事が忙しくなり、WEB活動などしている時間をとることができなくなったからです。

今般、再開するにあたり、ちまちま広告収入など当てにするよりも、潔く自腹でやったほうがいいや、ということで広告も貼っていません。
広告を貼ると、独立性も疑われますしね。
googleのアドセンスなども、会計士受験予備校の広告がでちゃったりして、予備校批判をしているサイトとの整合性なども考える必要がありました。

クラウドファンディングで金が集まるようなものでもないし、こういう活動は難しいなと思うきょうこのごろですが、pay it forward の精神で、できるところまでやりきりたいと思っています。

というわけで受験ビジネスとは全く関係のない、功成り名遂げた公認会計士の方からの寄附申し出をお待ちしております(笑)。

理解を覚える

2022/07/28
威勢のいい丸暗記勢から見下される理解重視勢

あのね、会計士試験で必要な理解なんて浅いもんよ。
研究者になるならまだしも、実務家試験に受かる必要最低限があればいいのです。

「でもね~。理解って言われても、よくわからないんですよ。理解重視っていうのは地頭がいい人だけに適合するものじゃね」

わかる必要もない。

即答できる状態にするために思い出しやすいレール、ガイドを覚える。これが、試験に必要な理解。
わからない、というのであれば、理解を覚えればいい。

「理解を覚える!? なんか変じゃね。」

なら、まずは定義を理解して覚えるところから入ってみよう。

定義は、そのものを表し、その他のものを表さないよう、先人達が知恵を絞って言葉を最小限に選んだ俳句のようなもの。

なぜその定義になるのか、目的、何を表して何を表していないのか、それを覚えてみよう。

理解をひとつ覚えても、楽にはならない。

でも、理解を2つ3...8つ9つ覚えると、100の項目を直接覚えるよりも、楽に100項目を思い出せるようになる。
なぜなら、理解とは、必ず2つ以上の要素を結びつけるものだから。(セパレートするのも、結びつけるものに含まれる)

理解と暗記を切り離して考えてはいけない。
理解とは暗記作業をしないことではない。

理解も暗記のひとつの要素。

理解を覚えれば、暗記項目が格段に減るのだ。

理解重視、暗記重視?

東大教授が教える独学勉強でも、コツとして理解を利用することが記載されています。

出来ない理由を探すのではなく.....

2022/07/27
よくある自己啓発系のお言葉
「できない理由を探すより、できる方法を探してみよう」
「金がないからできないではなく、金がなくてもできることを考えよう」

一方で、部下からみると、「精神論ばかりの上司の言葉。具体的な解決策も指示もない。これがマネジメントとして優秀と言えるのか。」という批判もよく目にする。

ブラック企業も言う「出来ない理由ばかり言うな!できる方法を考えるんだよ!」

東条英機も言う。サイパン島陥落後の言「正に、帝国は、曠古*1のない重大局面に立つに至ったのである。しかして、今こそ、敵を殲滅して、勝を決するの絶好の機会である。」

「だが、つづく箇所を読むと、それが空虚な精神論にすぎないことがわかる」「国力も足りない。物資も足りない。明らかに米英のほうが強い。必敗なのに、必勝と言わなければならない。ではどうするか。精神力だ。ピンチはチャンスだ。われらに秘策あり。こう叫ぶしかない。狂気とも思える言動はある意味で、合理的な帰結だったのである。」*2

さて、どちらが正しいのでしょうか。そもそもこれらの言説の正しさを追求すべきなのでしょうか。

「できない理由を探すより、できる方法を探してみよう」が批判されるのは、「何を」できるようにすることを所与の前提としている場合にあるように思う。

「所与の何を」に囚われる限り、「できる方法」は、夢物語となる。

「所与の何を」をするのは、そもそも何の目的を達成することでしたっけ?
そこを疑い、「さらに上位の何を」を探すことができれば、そしてそれを達成するための新たな選択肢を探す余地があれば、道は開ける可能性が高いでしょう。

すなわち、「できない理由を探すより、できる方法を探してみよう」ではなく

「できない理由がたくさんあって身動きとれないなら、まず目的を疑ってみよう。そもそも我々は何をしたいのか」

ではないだろうか。

公認会計士試験に受かるために何をすべきか。

時間がない。他によることがある。大学の勉強、仕事、子育て。。。。
いやいや、その制約の中で、どうすれば合格するかを考えるんだよ、というのが思考の第一歩。

それがどう考えてもダメであれば、そもそも公認会計士試験に合格することがなぜ必要なのか、を考えなくてはいけないでしょう。

どうすればできるか、できないなら、なぜそれを達成する必要があるのか。
そこまで考え尽くした時に、決断はできるように考えるきょうこのごろです。

その点、「できない理由を探すより、できる方法を探してみよう」という言説は、二次元の直線から三次元を想像できない"点の描写"であると思います。

戦争になぜ勝つ必要があるのか。という疑問を東条閣下に言えば粛正されるかも知れませんが、「戦争に勝つ」ということはどういうことか、戦争に負けても長期的に勝つこともできるのではないか、そもそも勝つ必要はあるのか、負ければただ悲惨なだけの国民となるのか、日本国や文化というものを失うことは全ての敗北であるのか、我々が守るべきものはなんであるのか。

当時の人々も考えたと思います。ただそれを表に出せば自らの命が危ないという状況はあったでしょう。

何か話しが大きく飛躍してしまいました。
私は基本的にリベラルを自称していますが、一方で体制どっぷりの公認会計士でもあります。

ひとりの人として一様ではなく、矛盾ばかりを抱えた人生。
きっと他の人も似たようなものだろうなと思いつつ、他者に優しくありたく、でも、真の仲間には厳しくもありたく、矛盾の人生を歩んでいます。

*1 : 前例のないこと

*2 : 超空気支配社会kindle版P19辻田真佐憲 文春文庫